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美と切なさと、謎がある。孤高の英雄物語ヤンマガ連載中『ORIGIN・オリジン』を読むべき理由! 極力ネタバレ無しのレビューです

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週刊ヤングマガジンに連載中『ORIGIN』のレビューです。本作の全体的な印象と、今週のヤングマガジン(2017年10号)に掲載された「17話目:死んだふり」を読んだ時点で謎になっている部分を解析します。

 

極力ネタバレ無しで進めますが、後半は発売中の「コミックス1巻」以降の内容に触れています。本誌で内容を確認したい方/コミックでまとめて読む派の方は、ここから先のスクロールをご注意ください〜 m(_ _)m

 

 

オリジンはココが凄い!▶緻密さとダイナミックさが混在している絵が美しい

Boichi(ボウイチ)先生の『ORIGIN(オリジン)』は、週刊ヤングマガジンの2016年40号より連載を開始。現在KCコミックス(ヤンマガKCスペシャル)にて、第1巻が発売されています。

 

ヤングマガジンの作品公式ページでは、「第1話:人間ではないもの」の一部ページが無料で読めるようになっており、コミックスもしくは、その無料公開ページを読んでいる。という前提で本稿は話を進めます。

 

過去にヤングマガジンでは「AKIRA」「攻殻機動隊」など、近未来の世界を細かに描写した漫画が掲載されてきたので、未来の都市を緻密に描く表現があっても、さほど驚かないと思います。

『オリジン』は、これまで漫画で描かれてきた緻密な描写を踏襲し、なおかつアクションシーンにスピード感のある大胆な表現が取り入れられています。

 

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第1話では35ページ、50ページのほかにも、戦闘シーンでは太い筆を使ったような思い切った描写や、細い線を重ねることでスピード感が強調されています。

 

また、その反面で静かな海の遠景や、手狭な居酒屋の一コマなどには奥行きがあり、絵を眺めているだけで、読み手の想像力を喚起するような完成度の高い漫画です。

 

オリジンの切ないところ▶孤高のヒーローという、定番ではあるが読ませる主人公の設定

主人公・オリジン(田中仁)は、後に生まれるロボットのプロトタイプ(量産前の原型)で、ほかに兄弟ロボットが8体。それらのロボットの中には、いわゆるボスが存在し、後にオリジンは、その8体と本格的に敵対することになります。

 

ロボットであることを隠して人間社会で生活し、なおかつ自分の同類ロボットからも認められない存在の主人公。

 

人間と「それ以外の存在」のどちらにも自分の居場所がない。という設定は、石ノ森章太郎先生の「仮面ライダー」をはじめとして、「デビルマン」など、多くの作品で採用されてきた主人公の立ち位置です。

 

古くには、ダンテによる「神曲」で語られてきたテーマなので、漫画だけでなく映画など、さまざまな物語に組み込まれているフォーマットですが、仮面ライダーでは後に仲間のライダーが誕生しましたし、デビルマンにも最愛の女性・美樹さんがいました。

 

この作品の主人公・オリジンには、いま存在している仲間がいないだけでなく、感情がありません。自らの行動が、演算によって得られた結果に過ぎないことを自覚しています。

デビルマンも仮面ライダーも孤独であることを苦しみましたが、オリジンは今までのヒーローが持っていたような感情を持たないため、「寂しくて悲しい気持ち」を感じることもできないのが、切ないです。

 

そんなオリジンが唯一拠り所としているのは、自分を創った博士・父さんからの「ちゃんと生きていくんだ」というメッセージです。主人公は、その意思を継ぐために「生存」することを選択します。

 

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この「ちゃんと生きる」の意味を説明するエピソードとして、第1話目に登場するチンピラが――

絶えず他人のものを 吸い取ることで 維持されるのが 人生なのさ

と仲間に話し、オリジンも――

できることなら 部屋の中で じっとしていたほうがいい

(中略)

そうもできない

活性化されたシステムというのは 自分じゃないものを 持ってくることで 維持される訳だ

――と語ります。

 

他者の何かを奪って生きる。これは少し残酷な表現のようですが、たとえば大企業の経営者のような分かりやすい搾取をしていなくても、わたし達は生きていく中で他者から何かを得ています。

また、逆に言えば自分が「他人から奪われる」だけの付加価値を作ることで、社会に貢献しているわけです。

 

これらの「ちゃんと生きていく」が主題となって、物語は進行します。

 

なぜニートではいけないのか? ということを、これだけわかりやすく伝えている作品は、漫画に限らず小説や映画でも、これまで無かったのはないでしょうか?

 

 

オリジンの謎▶8番目のロボットの行方は?

第1話のラストで、兄弟ロボットのボス「乾(正宗)」と、ほか5体のロボットが登場します。

 

ロボットは、オリジンを含めて全部で9体。ここまでは敵対するロボットは8体ではなく、以下のように合計で7体が出てきています。

 

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  • 敵のボス(首だけのロボ) 1体
  • 第3話目以降で登場する 2体
  • ほとんどシルエットだけの 3体
  • 第1話目で破壊されたパンチラ風俗嬢・ロボ 1体

では、残りの1体は、どんなロボットなのでしょうか?

 

※ここから先は、コミックス1巻は読んだけど、週刊ヤングマガジンでリアルタイムには追いかけていない。という方にとって「ネタバレ」になってしまいます。

 

未読の方は、今週号から追いかけて読むか、来々週のヤングマガジン(2017年12号)に掲載の「18話目」を読んでから、また当URLにアクセスしていただければと思います。

 

ORIGIN(1) (ヤングマガジンコミックス)

ORIGIN(1) (ヤングマガジンコミックス)

 

 

最後の一人は「愛ちゃん」か?

残りの1体として考えられるのが、13話目から登場する美少女・愛ちゃんです。14話目ではオリジン(田中)のことを「完璧に左右対称でカッコイイ」と言いますが、本人も不自然なほど可愛い。

 

また、ロボットであることを予見させるシーンも15話目に出てきます。

 

ただし、この今週号(2017年10号)の時点で、愛ちゃんは感情を持っていることがわかっています。

 

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オリジンが持っていない感情を、敵ボスの「乾」は持っているため、もしも愛ちゃんがロボットであっても「許せない‥」と感じる可能性はありますが、どうなのでしょうか?

 

また、もしかすると愛ちゃんは、「乾」以上の存在なのかもしれません。

 

人間とロボット、どちらにも居場所が無く、本当の理解者がいないオリジン。でも、それはわたし達も同じかも知れません。

 

たとえ肉親であっても、恋人であっても「本当の自分」を分かってくれる人はおらず、また自分でも分からないから、「ちゃんと生きていく」ことで存在を継続するのではないでしょうか?